映画「眠り姫」を観た人に贈る、七里圭監督+矢崎仁司監督トークショーのレポート

ねむっても ねむっても ねたりない。

って、かんじでした。ここ最近。
「眠り姫」にとらわれてしまったとしか思えない眠気。
鑑賞後1日経ってもテンションが下がらなかった映画の感想は、前の記事を見てください!

6年も焦がれながら、なかなか観る機会を持てなかった「眠り姫」。
先日、やっと足を運んだのには『ずっと見たかった』以外の理由もありまして……。
実はこの上映後にはトークショーが行われたのです……!
……ということで、この七里監督と 矢崎監督 のトークショーをざくっとまとめたいと思います。
七里監督、「眠り姫」を観て、寡黙で大人しそうなイメージがあったんですけど、実際はものっそい喋る方でした。ビックリした。

以下は自分の備忘録を兼ねたまとめなので、クセが強いまとめかたになっていたらごめんなさい。
でも、発言のエッセンスはおさえられていると思います。

七里監督は矢崎監督がとても好き

『PFFまではあまり映画を見なかったけれど、PFFの受賞特典でずっと映画を観ていられるほどのチケット(今で言うフリーパス)を貰ったので、毎日ずっと映画を見ていた。
その時に矢崎監督の「風たちの午後」を観て衝撃を受けた。トラウマになるほどだった。』

矢崎監督だって七里監督がとても好き

(矢崎監督)『「眠り姫」のチラシは机の前に貼ってある。素晴らしい作品だと思う。
(観客に向けて)みなさん、映画を学ぼうと思っても映画史を遡らなくていいです。「眠り姫」を観ればいいです。
机の前に貼ってある「眠り姫」のチラシはそろそろボロくなってきたから、今日は(過去の作品のチラシを特別に提供してくれていて)とても嬉しい。たくさん貰って帰ろうと思う。』

「眠り姫」で唯一リテイクしたいシーン

『(『画面はいつも計算して撮っているのか?それとも偶然撮れてしまうのか?』という矢崎監督の質問に答えて)各シーンについては綿密に計算して撮っている。
(『自分?とすれ違うシーンがとても好きだ』という矢崎監督の言葉に対して)その言葉はとても嬉しいが、あのシーンは唯一リテイクしたいシーン。
本当はキリコの絵画のような、すーっと伸びていく影を撮りたかった。
それを狙って、しっかりと計算をして早朝にロケを行ったが、計算ミスがあったせいで意図した通りにならなかった。
ただ、逆光なのがうまく作用しているので、そのままでもOKとした。
冬至の時期にしか撮影できないために、翌年にリテイク撮影をしようとしたが、車を貸してくれた人物が車種変更をしてしまったために叶わなかった。』

ほとんどひとり

『(『ラストのカットで抜群のタイミングで鳥が飛び立つのがすごい』という矢崎監督に対して)あのシーンは20〜30テイク目で撮れた奇跡のシーン。
鳥の動きは意図せず、ただ、ラストで紙片を川に流すときにどういう撮りかたをすれば水面が映えるか試行錯誤を繰り返していたら撮れたもの。
そのときはひとりきりだったので、何度でも試せた。
そのときというか、「眠り姫」の半分以上はひとりで撮影している。』

「のんきな姉さん」は不遇

『「のんきな姉さん」は上映館が少なく、それでも7週間くらいは上映してもらえたけれど、国内で「わからない」と言われ続けた。
国内でそういった評価だったため、国際映画祭等への出品もできなかった。
かわいそうな作品。
助監督をつとめた方はすっかり大物になった。(=西川美和監督)』

最新映像「DUBHOUSE」に対しての矢崎監督の感想

(矢崎監督)『観た後に新宿を歩いていたら、イルミネーションや、駅前で弾き語りをしているひとが、とてもキラキラして見えた。
世界の見え方が変わった。』

クラムボンの「ASPEN」PVについて

『予算的に3回しか撮れなかった。
2バージョン撮りたかったので、各バージョンを1回ずつ+NG1回分を見ていた。実際にはどちらのバージョンも1テイクで済んだ。
黒田育世さんはさすがプロ。
前夜まで嵐だったが、16時頃にいきなり晴れた。その合間に撮った。
同じようなことが「マリッジリング」でもあった。
車内のシーンを撮る前に、待合室のシーンで時間をとられていたら、車内シーンを撮るとき(16時頃)に曇天が晴れた。そこをすかさず撮った。
待合室のシーンを撮っているときはやきもきしたけれど、頑張れば神様は見ていてくれるのだと思った。』

トークショーは20分程度。
ちなみに、映画を観終えた帰りの電車の中でまとめた内容なので、トークショーの大部分をきちんとカバーできているはずです。

序盤は七里監督と矢崎監督がお互いを褒め合い合戦していたので、そこで時間がけっこう食われたかんじかも。
メイキング映像について話している部分もありましたけども、着地点がなかったのとまとめづらいのとで省いています。
七里監督が助監督時代に撮影したメイキング映像について話していました。
(作品名は挙げなかったけど、寺島しのぶさんの名前が出ていたので、たぶん「ヴァイブレータ」の話?)

トークショーって面白いな。
作品への理解の深度が深くなるのはもちろん、他の作品も観たくなりますよね。
ちゃんとアンテナを立てつつ、少しづつ作品を観ていきたいです!