ダミアン・ハースト「桜」

一足遅れのお花見にいざなってくれたダミアン・ハースト

これは、都会の真ん中で少し遅れてお花見をした日の記録。
だからお花見といっても、桜の下でシートを広げてお酒を飲んだりしたわけじゃないんだ。
ただ、ひたすら桜を見ていた。
……その桜は絵画だったんですけどね。

「ザ・セル」っていう映画を見たことはあるでしょうか?
ジェニファー・ロペスがぶいぶい言わせていた頃の彼女の主演映画で、『ある目的のために犯罪者の深層心理にもぐりこみ、彼の心象風景を体験していくカウンセラーの話』なんですけど。


この中でいくつか印象的なシーンがあって、その中のひとつに馬が輪切りになるものがあるんですよ。
そのシーンのインスパイア元になっただろうと思われる作品がダミアン・ハーストという現代アーティストのもの。
wiki へのリンクになりますが、こんなかんじの作品。

そして、このダミアン・ハーストこそが、今年、私にお花見の機会を与えてくれたひとです。
このひとが桜の絵をがしがし描いて、桜の花だけの個展を開いてくれたのです。
動物輪切りの作品をつくったひととは思えないほどの綺麗な桜の絵たちを……。

というわけで、そんな「桜」展の写真をはっていきますね。

ダミアン・ハースト「桜」

作品は全部で24点。
「儚い桜」「知恵の桜」など、作品名のすべてに“〜の桜”がついています。
1点だけどーん!と飾られているものは2点のみで、他は3点ずつ飾られていたのかな?(でも作品名はそれぞれについている)
4枚で1つの絵を構成、というパターンも1点だけありました。

ダミアン・ハースト「桜」

↑この3つの並びがいちばん好きだった!
作品名はメモり忘れたので不明ですが、右は淡い桜、真ん中でグラデーションして、左は強い桜になっている飾られかたがすごくいいなぁ、と思って。

ダミアン・ハースト「桜」

ちなみに近くで見るとこんな感じ。

ダミアン・ハースト「桜」

横から見ると、こう。
絵の具の厚みがけっこうなものだということが伝わりますかね???

ダミアン・ハースト「桜」

“4枚で1つの絵を構成、というパターン”のもの。
これだけだとサイズ感がいまいち伝わらないので、もう一枚……、

ダミアン・ハースト「桜」

これ!
大きいんですよ!
遠くからだと写真におさめられるけど、近くからだと絶対無理だし、見るにしてもしっかり見上げなきゃいけないんですよ!
だから『お花見してる感』は、この作品を見ている時が抜群にあったかな。

桜の絵しかない展示。
でも、ものすごく満たされた気分になれました。

……で、帰ろうとしたら。
最後の小部屋でインタビュー動画に遭遇。
20分くらいあるものをしっかり見てしまった。
そして必死にメモりながら見た後に気づく。
このインタビュー動画が、国立新美術館のサイトに上がっていることを……。
https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/damienhirst/

以下、インタビュー内容のメモを箇条書きで……

  • デビュー時は、視覚言語として絵画を受け入れられなかった
  • 桜の描画方法は、『筆から絵の具を投げてる』!!!
  • 『ベーコンの技法でポロックをやった』
  • 中心がない構図
  • このフォーマットにしたのは没入感を与えるため
  • 『観客に身体的な反応を催させたい』
  • 『独創性は必要ないと気づいて俺は自由になれた』

こんなかんじかな。

正直、『ダミアン・ハーストがこんなに素直に楽しめる作品たちを作ってくれるなんて思わなかった!』という内容でした。
(だって動物を輪切りにした作品を出したひとだぜ???)
今回の「桜」につながる「スポット・ペインティング」のシリーズは未見なので、機会があったら見たいなぁ。
いろんな色のドットが規則的に描かれたシリーズで、そのドットは覚醒剤を表現してるとかなんとか……惹かれるよね。