さわひらきさんの「UNDER THE BOX, BEYOND THE BOUNDS」に行ってきたよ!

初台のオペラシティアートギャラリーでやってるやつです。
昨日エントリを上げたクラフト・エヴィングの展覧会 とハシゴしました。

 

 

 

前情報はほとんど無しの状態で観に行ったこの展示。
どうしてそんな大胆なことをしたのかというと、とにかくTwitterで評判が良かったからです。
もうね、ことごとく絶賛なの。とにかくみんな『行って良かった』『素晴らしい』って言ってたの。
…ですので、期待値マックスハート状態で観に行きました。

 

 

率直な感想は、『ひとを選ぶ作品群なんじゃないかなぁ』でした。
たぶん、現代アート慣れしているひとは好きな世界観だと思います。モチーフや見せかたがアーティスティック。
そのぶん、敷居も高いのかな…と。
すごく心地良い世界ではあるんですけど、無条件にスコーンと浸れる世界観ではないかな、と感じました。

 

 

あと、単純に、ぜんぶしっかり観るには時間がかなりかかりそうな気がしたのが、個人的にはつらかったです。
序盤のドローイング群と、最後の月面の鉛筆画以外はぜんぶ映像作品ですからね。
私は大きい作品しかがっつりとは観なかったのですけども、小さい作品もぜんぶ観ていったら、たぶん3時間くらいかかるんじゃないかなぁ。
そういう意味でいえば、1000円でここまで楽しめるっていうのは破格だとも思いますが。

 

 

この、さわひらきさんの展覧会は

ひとりひとりが持つ居心地の良い領域(テリトリー)、そして時間軸をともなった領域である個人の記憶について考えさせてくれます。私たちはなぜそのような領域を必要とするのでしょうか。

という問いかけがされています。
個人的には、この『領域』というテーマが重かったです。たぶん他のひとには暖かかったり優しかったりする印象を与えるテーマだと思うんですけど、さわさんの作品が『記憶』をよびおこすようなモチーフがふんだんに散りばめられていることもあって、過去のしんどいことを思い出して会場の隅のほうで震えてたりしましたね。帰宅してから発熱したので、風邪の前兆だったのでは…と言われればそれまでなんですが。

 

 

ただ、ここまで影響を与えるっていうことは、やっぱり凄い作品なんだろうなー、と。
先述の通り、記憶を呼び覚ますようなモチーフの使い方は本当に上手いし、その見せかたも上手くて、もうこれは天性のものなんだろうなー、って感じました。
どう上手いのかは、これはもう見てもらわないと分からないとも思うんですが。
言葉で説明できないんですよね。それが凄い。言語化できないものを伝えてくるのが凄い。

 

 

ちなみに、私がいちばん好きな映像は、新作の「Lenticular」でした。
平面のスクリーンと、ドーム型のスクリーンとを使った作品です。
ドームに映し出される映像に圧倒されつつ、淡々と語る男性や天文台が映し出される平面スクリーンからも目が離せない。
映像や音楽が好みだったということもあるんですけど、単純に、今回の展示の中でいちばんわかりやすい作品だなぁ、と思いました。あと、人肌をいちばん感じなかったというか。だから好きだと思ったのかな。

 

 

次点は「Going Places Sitting Down」。
部屋の様々な場所で月が昇り、木馬が揺れるファンタジックな映像作品です。
これはあんまり『領域』は感じなかったかな。過去作品だからかな。
単純に、映像がとても好みでした。ひそやかに展示されている雰囲気も良かった。
ここでちょこっと語られて います。

 

 

このエントリを書いている今でも、実はまだ消化しきれていないこの展覧会。
もしかしたらもう一度、じっくり観に行く必要があるのかなぁ、と思っていたりもします。自分にとっては観ることにエネルギーが必要な展覧会の気がするので実現できないんだろうなぁ、とも思いますががが。
観るかどうか迷って、検索の末にここに辿り着いたひとがいるなら、そのひとには『観た方がいいんじゃないですかねー』って言います。
とにかく何らかの化学反応は起こりますよ、自分の中で。